私立の音大入試要項でよく目にする「コールユーブンゲン」。名前からして難しそうな印象を持ちますが、どういったものなのでしょうか?

今回はコールユーブンゲンについて、詳しく解説いたします。

コールユーブンゲンとは

コールユーブンゲンはドイツ語での正式名を「Chorübungen der Münchener Musikschule」といい、ドイツ人の音楽家フランツ・ヴュルナー(Franz Wüllner 1832 - 1902)が1876年に書いた「合唱教本」です。

ヴュルナーが勤める音楽学校の生徒たちに向けたものであったため「ミュンヘンの音楽学校の」と続いていますが、現在では世界中の音楽学校や、小・中・高校の音楽の授業で、音楽教育のためのすぐれた教本として使用されています。

オリジナル版(原書)のコールユーブンゲンは全3巻ありますが、日本ではおもにそのうちの第1巻が編集され、出版されています。

一般に広く使用されているものに、大阪開成館発行の「コールユーブンゲン(全訳)」があります。ヴュルナーの原書にある序言や、各章の解説、注意事項などがすべて翻訳されています。大正・昭和時代に活動し、ドイツに留学経験のある作曲家・信時潔による訳で、大正14年に初めて印刷発行されました。音大入試の試験範囲に指定されることの多い、No. 1からNo. 87までの練習曲が収録されており、音大入試を考えている方にオススメの楽譜です。

音楽之友社から出版されている「コールユーブンゲン学生版」は、学校の音楽の授業や、音楽教室のソルフェージュのレッスンで取り扱われることの多い楽譜です。原書第1巻のNo. 1からNo. 52までと、原書第2巻と第3巻から抜粋された合唱練習曲が収録されています。

全音音楽出版社の「学生版コールユーブンゲン」もベストセラーで、古くから音楽教師たちに愛用されている楽譜のひとつです。

コールユーブンゲンの内容

大阪開成館発行のコールユーブンゲン(全訳)を参照しながら、コールユーブンゲンの内容を見ていきます。まずはじめに、ヴュルナーの原書第1版にある序言が翻訳され、それに続いて、原書第2版の序言が補足的に追加されています。

全42章にわけて、音楽を形作る旋律やリズム、音楽記号、音程、拍子などがバリエーション豊かに提示され、さまざまな練習曲とともに紹介されています。

第1章 旋律、音列、節奏

第2章 音階

第3章 音程

第4章 二度音程

第5章 拍子

第6章 節奏上のアクセント

第7章 単純二拍子

第8章 二倍の二拍子(重複二拍子)

第9章 同長音符で休止を

第10章 二拍が一音符となること

第11章 切分音

第12章 単純三拍子

第13章 三度音程

第14章 節奏の切れめ(Rhythmische Einshnitté) 楽句の切り方(Phrasierung)

第15章 二拍以上の拍が一音符となる場合、付点音符・スラー・切分音の新構造

第16章 四度音程

第17章 二音符を一拍に歌うこと 

     2/4・3/4・4/4・拍子における八分音符 2/2・3/2・4/2・拍子における四分音符

第18章 更に小さい付点音符

第19章 3/8拍子と6/8拍子

第20章 五度音程

第21章 音程の転回

第22章 更に小さい切分音(小拍支切分音)

第23章 上拍(Auftakt)

第24章 9/8拍子と12/8拍子

第25章 六度音程

第26章 三連音

第27章 六度音程の転回

第28章 音符四個を一拍に数えること

     2/4・3/4・4/4・拍子における十六分音符 2/2・3/2・4/2・拍子における八分音符

第29章 最小付点音符

第30章 七度音程

第31章 七度音程の転回

第32章 長音階の音程に関する一般的規則

第33章 和声、和音、音階の基和音、[基三和音(Hauptdreiklänge)]長調体系(Dursystem)

第34章 調の関係

第35章 五度の関係調への移り行き

第36章 終止

第37章 短調体系(Mollsystem)  短音階、その音程、その基和音

第38章 和声的及び旋律的短音階、短調の調号、平行調

第39章 短調和音練習、拡張された長調の和音練習

第40章 属七の和音

第41章 半音階

第42章 臨時記号

コールユーブンゲンが入試で必要な音大

コールユーブンゲンが例年入試の科目に指定されている大学の一例です。

2023年度入試時には変更になる場合があります。また、選抜によっては必要でない場合があります。

・東京藝術大学音楽学部声楽科

・東京音楽大学声楽専攻

・国立音楽大学音楽学部声楽専攻

・千葉大学教育学部音楽科教育分野

・同志社女子大学音楽学科演奏専攻

・洗足学園音楽大学声楽科

・尚美学園大学クラシックコース

コールユーブンゲンをうまく歌うコツ

まず、拍子と調を確認したら、曲を全体的に見てみます。「長6度の音程が反復している」「付点のリズムの音形が多い」「このあたりで盛り上がりの頂点が来ている」など大まかなことがわかればオッケーです。

旋律とリズムのみを目で追いながら、ゆったりとしたテンポで、はじめから終わりまで歌ってみます。このとき、手で拍子をきざむことを忘れないようにします。

難しいと感じた場合は、音程は気にせずにリズムのみをまず声に出してみます。滞りなく歌えるようになるまで何度かくりかえし練習します。

次に、スラーやシンコペーション、アクセントなどを確認します。今度はこれらの記号に意識を向けて、歌ってみます。はじめは少し大袈裟に抑揚を付けてみましょう。不安であれば、拍子をきざみながら挑みます。

慣れてきたら、音楽の進む方向を感じながら歌唱します。段落が終わっているところと、曲の終盤はとくに意識してみましょう。

ここまで来ると、曲を覚えられるようになってきていると思います。完全に暗譜してしまえば、より自然に、より音楽的に歌えるようになります。

唱法(音の読み方)は、階名【ドレミ】やドイツ語音名【ツェーデーエー】でも、母音唱【a】【u】【o】、ハミング唱【m】【n】、単一シラブル唱【ラララ】【ナナナ】でも問題ありません。

階名を選択するときの歌い方は、「固定ド」もしくは「移動ド」の2通りの唱法が考えられます。固定ドは、その調にかかわらず音符の音程に合わせた階名で歌うことで、移動ドは、たとえば、ハ長調の楽曲をト長調に移調して歌う場合、ハ長調のときと同じ階名で歌う唱法です。

ハ長調での「ドレミファ…」という旋律は、ト長調になっても「ドレミファ…」と歌うといった具合です。

「この歌唱法で実施すること」と、読み方を指定している大学の場合は、普段からその唱法で歌うとよいかもしれません。そうでない場合は、あなたの歌いやすい方法を選び、リラックスした状態で取り組むことが大切です。

オンラインで音楽の基礎を学ぶ

入試では専攻楽器の実技や面接、小論文などに加えて、楽典やソルフェージュなどの知識を求める大学・短大もあります。実技のみが指定されている場合であっても、入学後には楽典やソルフェージュの授業があり、まったく初めての場合には「授業内容についていけない…」なんてこともあるかもしれません。

しかし、楽典やソルフェージュの基礎をしっかりと学ぶことのできる音楽教室は、地方ではごく一部しかなく、その分レッスン料を高額に設定しているところもあるようです。

フォニムスタディでは、音大受験を考えている中学生や高校生のみなさまに、楽典やソルフェージュに特化した受験対策講座をご提供しています。(月額9,000円〜)

オンラインで受講できますので、スマートフォンやタブレットをお持ちであれば、いつでもどこでも手軽に始められます。

コールユーブンゲンをひとりで練習することに不安を感じる方は、「コーチ付プラン」(+月額10,980円)もご用意していますので、お気軽にご相談ください。東京芸大を卒業した音楽家があなたの練習をサポートし、的確なアドバイスを送ります。

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