こんにちは。フォニムピアノ講師の榎政則です。

22歳で作曲・音楽理論を専門としてフランスに渡り、気付いたらピアニストになっていましたが、フランスではびっくりするような出来事がいくつも起こりました。その中で特に印象的だったピアノに関わるエピソードを紹介します。今回は「演奏会場のホールでの衝撃の一言」編です。

ーー

フォニムのピアノ講座はこちら!

パリのピアニスト陣が贈る、教室で出会えない贅沢レッスン。電子ピアノで24時間おうちレッスンOK。入門から上級まで盛りだくさんの楽曲を収録しています。

ベルギーに演奏会をしに行くことに

ベルギーはフランスの隣国で、電車で3時間程度です。


フランス語もほとんど違和感なく通じ、フランスに慣れている人なら行きやすい国です。とはいえ国境を越えた演奏会の機会にわくわくしながら会場に向かいました。



その会場は、普段は展覧会をするのが多いようで、音楽会をするときもロックだったりと、ピアノを使うような演奏はしないところでした。今回の演奏会でははじめてその会場にピアノが入ることになったようです。


スタッフの方たちはピアノの扱いに戸惑いながら、セッティングをしています。

グランドピアノはまず譜面立てのある側の蓋を開いてから、側面に立ち大きく蓋を開き、突上棒で支えます。大きく蓋を開くとき、突上棒は二つあるストッパーのうち、下側で固定します。これを誤ると、蓋の落下の原因となり危険です。

会場でかけられた驚きの一言


しかし、その会場では何から何まで間違っていました。譜面立て側の蓋を開かず、上側のストッパーで固定し、そのひとつひとつの動きが非常に危険です。しかも、蓋を開けてからピアノを動かそうとしています。

「ちょっとちょっと!」とピアノの動かし方を指示しに行くと、スタッフの方が言いました。

「僕はピアノを見るのが初めてなんだ」


さすがに学校とか、テレビとかで見たことはあるでしょ?と言っても「いや、ない」の一点張り。

ピアノのセッティングの仕方を知らないは良いのですが、ピアノというものを全く見たことがないというのは、ベルギー風の冗談なのでしょうか・・・。


結局このホールでは、ピアノの設置位置、照明、音響に至るまで、全て自分で決めて指示することが必要になりました。

以降、かならず演奏会の際には、照明、配置、音響などの調整を指示したり、ホールの方たちと相談して決めるようにしています。このような過程で、ホールとも打ち解けることができますし、自分にとって本当に理想の演奏会を作ることができるからです。


なお、演奏会はそれなりにうまくいきました。

エピソードは続編に続きます。