ヴァイオリンやピアノ、ドラムにはサイレント楽器が次々登場していますが、人の歌声をサイレントにするのはなかなか難しいものです。

テレワークも盛んになりご近所さんの在宅率も上がっている今日この頃、カラオケに行って練習する以外に発声練習をする方法はないのかとお困りの方もあるのではないでしょうか。

今回は、静かに行うことができて、効果的に発声トレーニングを積むことのできる発声練習についてお伝えいたします。ご家族にあまり練習を聴かれたくない!という場合や、少し喉が疲れている時のケアとしても使えますので、ぜひ取り入れてみていただきたい内容です。

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執筆者紹介
オペラ歌手 山本耕平(Kohei Yamamoto)



第39回イタリア声楽コンコルソ第1位、第45 回日伊声楽コンコルソ第1位及び歌曲賞、 第10回エネルギア音楽賞を受賞。東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程声楽専攻をアカンサス音楽賞を得て首席修了。ミラノ・ヴェルディ音楽院院ビエンニオ・声楽コースを修了。

山本耕平の映像レッスンは、フォニム 歌講座カリキュラムの1ヶ月目から4ヶ月目で好評配信中。
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①口笛ハミング

リラックスして息を吸い、「ウ」の形で唇を突き出してフ〜っと優しく息を吐きます。唇の前に人差し指を蝋燭のように立てて、風が一定に当たり続けるようにするのがコツです。

今度は小さな声で「ウー」と中くらいの楽な高さで声を長く伸ばします。その際、1.と同じように指に風が当たり続けるように意識して見ましょう。「ウー」という声と、スープを冷やす時のように優しく吹きかけるような息が両立するイメージです。

「チューリップの歌」をウの母音だけで歌ってみましょう。音が跳躍するところや音程が上がって声が途切れそうになったら、声を大きくせずに唇から出ている息の流れの方を優先させると綺麗に声が繋がりやすくなります。

歌いたい曲があれば、それを「ウー」だけで歌ってみましょう。

【ポイント】 
 ・息はあくまで優しく、一定に。
 ・「ウー」と唇から息を出すことの両立は、最初にHをつけて「フー」と言うとイメージしやすいです。

【期待できる効果】
 ・唇から出る息を意識することで、自然と体全体を使って息をコントロールする感覚が身に付きます。
 ・ウ母音は最も喉のケアに適した母音ですので、声が疲れている時に喉を整える効果があります。
 ・小さな声で練習した時に、大きい声で歌う時よりもかえって声が喉が疲れてしまうといった弊害を防ぐことができます
 
実際の歌詞をつけて曲を歌う時にこの息の流れを思い出して常にイメージし続けると、歌うのがずいぶん楽になりますよ!

②リップロール

口を閉じて、上下の唇を軽く合わせてそのまま息を吐き出します。Prrrrr と唇が震えたら成功。

初めは上手く振動しないかもしれませんが、慣れてくると次第に最小限の力で唇を震わせられるようになります。唇を震わせることをリップロールと呼びます。

今度はリップロールに音程をつけます。これもご自身にとって中くらいの楽な高さで伸ばします。

2.が出来るようになったら、「チューリップの歌」のメロディーをリップロールを維持したまま歌って見ましょう。ハミングとリップロールを両立する形です。

【ポイント】
 ・リップロールは人によっては全くできなかったり、出来るようになるのに時間がかかる場合もありますので、気楽にチャレンジして見てください。①の口笛ハミングだけでも十分に効果は得られます。
 ・上達してくるとなんの歌のメロディーでもこのリップロールを維持したまま口ずさむことができます。

【期待できる効果】
 ・唇の周りや喉の周り、体などどこかが力むとこのリップロールは止まってしまいます。したがって、これに慣れてくると歌に必要なリラックスした体の状態を覚えることができます。音程が高くなっても低くなってもリップロールが一定の強さ(速さ、細かさ)で震え続けるようになればかなりの上級者です。

口笛ハミングを易しくした「ストローのメソッド」も含め、フォニムの歌講座のなかで学んでいきます。
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編注: 本ブログ記事は講座に先行して公開されております。近日募集開始となりますので、ぜひご注目ください!