こんにちは!
ヴァイオリニストの上敷領 藍子(かみしきりょう あいこ)です。

ヴァイオリンを演奏する時に「音が出ない、出にくい!」というお悩みについてお答えしたいと思います。
是非、参考にしてみてください♪

音が出ない時によくみられる原因には
①松脂が塗り足りていない
②弓の張りが足りていない
③腕の重さを弓に乗せ切れていない
④張っている弦が古過ぎる
といったものがあります。

さらに一歩進み、チェックポイントがあります。
⑤弓の毛が指板に流れている
⑥左手が弦に触れてしまっている(開放弦を弾く場合)
⑦楽器が下がりすぎている
⑧左の指で弦を押さえる力が足りない

これらの①~⑧の項目についてご説明していきたいと思います。

①松ヤニ(松脂)が塗り足りていない

新品の松脂は、表面がツルツルとしていて粉が毛に付きづらいので、松脂の表面が少し白っぽくなるまで毛に塗り続けてください。
●白っぽくなって、さらに弓を擦った跡がつくくらいが◎です!

■また、毛を張り替えた後、一度も塗っていない状態であれば松脂(既に使った事のある松脂)を10分ほど、端から端まで丁寧につけるようにしてください。
■しっかり松脂が毛についてくると、弾いた時に弦と毛の摩擦点から白い粉が「少し」フワっと舞うので、それを参考にしてください(でも付け過ぎは注意!)。

②弓の張り方が足りていない

■弓の張り方は、木の材質や毛の張り具合などが影響し個体差がありますが、最初は音が出やすくするため少し張りを強くすると良いでしょう。
■木が弧を描かずまっすぐな状態になるほど強く張ってしまうと、木に負担がかかり、わずかな衝撃で折れたりヒビが入ってしまう原因になるので、あくまでも少しの弧を保つようにして張るようにしましょう。

張り方が足りない(毛と木が弾くとすぐにくっついてしまう)
ちょうど良い(毛と木が程よく離れていて、弾いてもくっつかない。でも、木にしなりがある。)
張り過ぎ(毛と木が離れ過ぎていて、木が真っ直ぐになってしまっている。)


③腕の重さを弓に乗せ切れていない

初めて楽器を弾く場合、どれくらい重さをかけて良いのか分からないですよね!
コツは、右手の人差し指が弓に当たっている所(第2関節あたり)に腕の重さを乗せること。
そうすると、重さが弓に伝わりやすくなります。

ポイント→弓を持っている手に力が入り過ぎないようにしましょう

写真の矢印の方向から重さを乗せるようにしましょう


■弓が弦に乗っている状態では、強く腕の重さをかけて弾いても弓が折れたり、弦が切れる事はめったにありません。
どこまで重さを乗せたら「ガリッ」という音が出てしまうのか実験してみましょう。

④張っている弦が古すぎる

■弦は古くなっていませんか?古過ぎたり、弦にサビが発生していると音がかすれる原因になります。
使い過ぎた弦はさびてしまうので、綺麗な状態かどうか確認してみましょう。
特に汗かきの方は弦がさびやすいので、確認してみると良いでしょう。

いかがでしょうか?
もしこれで改善されない場合は次の⑤~⑧を試してみましょう!

⑤弓が指板に流れている

■弓が指板の方へ流れてしまうと弦の張力が弱まり音が出にくくなってしまいます。
必ず、弓が駒と平行に、駒と指板の間を弓が行ったりきたり出来るように弦を目で見ながら弾いてみましょう。

写真ではちゃんと駒に平行に、駒と指板のちょうど真ん中あたりに弓がありますね!

■楽器を弾きながら弦を見ると、まっすぐになっているか分からない…!というお悩みをよく聞きます。

その場合は以下を試してみましょう!
1) 楽器を構え、鏡を見る
2) 弓を弦に置く
3) 鏡を見ながら、弓が駒と平行になっている事を確認
4) 弓を弦の上に置いたまま、実際の弦に目線を戻す

★ 4)の段階では、恐らく弓と駒が平行には見えないと思います(駒がカーブしているため)。
ですので、これがまっすぐになっている状態なんだ!と、目で見て覚えると良いでしょう。

奏者目線の弦の見え方(弓がまっすぐな状態)


⑥左手が弦に触れてしまっている(開放弦を弾く場合)

■これは無意識のうちに起こってしまっている事ですが、「開放弦のE線やG線を弾いていて音が出ない」という場合、かなりの頻度で左手が弦に触れてしまっています。
振動は左指まで伝わりづらい為、自分では気づかないことが多いです。
左手は楽に開いて楽器を持つと、指が触れる心配がありません。

E線が出ない時は左手の人差し指や小指
G線が出ない時は左手の親指

⑦楽器が下がりすぎている

■楽器を左腕で支え切れず楽器が下がってしまい、弓が指板に流れてしまっている場合もよくあります。

楽器の中では駒のある場所が一番高い位置です。
駒から楽器のネックに向かって弦は下降しています。

仮に楽器を床と平行に構えることが出来たとしても、必ず弦は下降しています。
それが楽器が下がってしまったら、どうなってしまうでしょうか?

弓は指板の方に流れやすくなってしまいますね。
なるべく楽器はまっすぐに、良い姿勢で構えましょう!

⑧左の指で弦を押さえる力が足りない

■これも意外と気付かれない原因の一つですが、左手の押さえ方が弱い方が多いです。
指を押さえているポイントで、弦が指板にちゃんとくっつくまで強く押さえましょう。

コツは左手の親指と強く挟むことです(重要!)。
ちょっと指先が痛いかもしれませんが…試してみてください!

弦と指板の間に隙間ができてしまっている
弦と指板の間に隙間が無い


前よりもしっかり楽器の音が鳴るようになったのではないでしょうか?
音が出にくいなと思った時は、①~⑧を順番に確認してみてくださいね!