楽譜を見ただけで「嫌だ!」という方も多いのですが、やはり楽譜は世界共通言語なだけあって読めると一気に世界が広がります。楽譜にカタカナでドレミを書いて演奏する、というのも始めの第一歩としては悪くありませんが、すぐに行き詰ってしまいます。
英語を少しでも勉強したことがある方なら、
I have a dream that one day this nation will rise up …
と書かれるのと、
アイ・ハブ・ア・ドリーム・ザット・ワン・デイ・ディス・ネイション・ウィル・ライズ・アップ…
と書かれるのでは、前者のほうがたとえ意味が分からなかったとしても読みやすいでしょう。(なお、これはキング牧師の有名な演説「I have a dream」の一節です)
楽譜も同じことで、すぐにカタカナのほうが読みづらくなります。
今回は楽譜に苦手意識を持っている方に、楽譜を読むための第一歩を踏み出してもらえるように記事にしました。どうぞ難しく構えずに、お茶でも飲みながら練習してみましょう。
ドとソを読む
ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド
はイタリア語の音名です。これらの音を一度に全部覚えようとすると大変です。そこで、ドとソだけを取り出して読んでみましょう。
難しい規則は全部後回しです!ドとソの二つの音を紹介します。
一番左にある魅力的な曲線を描いている記号を「ト音記号」と言いますが、今はこの記号は挨拶のようなものだと思ってもらって結構です。とにかく、ト音記号があれば、黒丸に横線が一本突き刺さった左側の音符が「ド」、右側の下から二番目の線の上に書かれた音符が「ソ」となります。
それでは早速楽譜を読んでみましょう!「ド」と「ソ」しか出てきませんよ。
はじめの音はド、次の音はソ、その次の音はド、と読んでいってみてください。
どうでしょうか、それほど難しくは感じなかったのではないでしょうか。正解は次のようになります。
ドソドソドドソソド
読めましたか?この段階で、「あれ?カタカナよりも音符のほうが見やすいぞ」と思っていただけたら嬉しいです!
これはぜひ声に出して読んで欲しいのですが、ドよりソのほうを少し高めに読んでみてください。音を正確に歌わなきゃ、などと思う必要はありませんよ。ただ、ドよりソの方が高い、という意識を持ってもらうだけでOKです。
ド(高い)を読む
それではもう一つ音を追加してみましょう。高いドです。
さきほど、ドよりソのほうを高く読みましたが、さらに高いドの音を追加します。この音符は線と線の間に書いてありますね。ただ、今は細かいことは気にせず「なんとなく真ん中より少し上側にあるのが高いドなんだなあ」くらいの感覚で結構です。ちなみに、始めに紹介したドと、高いドの関係をオクターヴといいます。
ともあれ、次の楽譜を声に出して読んでみましょう。
どうでしょうか。低いドから高いドに移るときに、違う位置の音符なのに、両方ドというところだけ気を付けていただければそれほど難しくないかな、と思います。これも、抑揚を付けて、高いドを高く読むだけで少し読みやすくなるかと思います。楽譜の見た目が抑揚と一致しているのですね。正解は次のようになります
ド ソ ド ソ ド ド ソ ソ ド
高いドを太字にしてみましたが、ここまで問題なく付いてこれていますか?
もしここまでで難しいと感じたら、とにかくゆっくり読むことをおすすめします。できるかぎり音符にカタカナは振らないで読んでいきましょう。
ドレミファソを読む
さて、みなさん、ここで突然ですが、早口言葉の時間です。
「巨匠こそ高所恐怖症」×3
はい、舌が回りはじめたでしょうか。それでは、次も行ってみましょう。
「ドレミファソ」×3
簡単ですね。「ドレミファソ」って喋りやすいようにできています。
ここで、おまちかね「ドレミファソ」を楽譜で読んでみましょう!
これ、なかなか難しく感じるかもしれませんが、今は覚える必要はありません!とりあえず、ドからソまで順番に読むと、ドレミファソになる、ということだけ分かっていればOKです!早速次の楽譜を読んでみましょう。
ドレミファソ、とひとつながりで読むところには、括弧でひとまとまりにしておきました。この括弧には「スラー」という名前がついていて、ひとまとまりにしたり、なめらかに繋ぐことを表す記号です。今回のような時にはとても役立つ記号ですね。
始めの二つの音は、最初に読んだ「ド」と「ソ」です。そしてその次は、ドから始まってソまで「ドレミファソ」と読みます。そして、また飛んで「ド」を読んだら、もう一度「ドレミファソ」を繋げて読んでゴールです。最後の二重線は曲の終わりを表す線で「終止線」と言います。ゴールテープのようですね。
読み方の正解をカタカナで書くと、次のようになります。
ドソドレミファソドドレミファソ
いかがでしょうか。少し難しくなってきましたか?
このときも、音符の高さに合わせて抑揚を付けてくださいね。とくに「ドレミファソ」はだんだん高くなっていくように歌うのがポイントです。
「ソファミレド」を読んで帰ってこよう
「ドレミファソ」と行ったら、「ソファミレド」と帰ってきたくなりますね。もう一度早口言葉です!
「ソファミレド」×3
さて、これも楽譜で見てみましょう。
これも一音一音の高さと音の名前を対応させるのではなく、ソからドまで繋げて読むことができる、ということが大切です。さて、次の楽譜を読んでみましょう!
高いドまで出てきて、少し大変になったかもしれません。また、「ドレミファソ」のあとに、また「ソ」がきて連続するのも少し読みづらい感じがしますね。また、一気に読もうとすると、目が滑っていく感覚になるかもしれません。次は、呼吸を入れていきましょう。
リズムを付ける
さて、ここまで一本調子に読んできたので、少しずつリズムを付けていきたいと思います。リズムの基本となる、休符・拍子を楽譜でどのように表すのか、紹介します。
休符で息を吸う
リズムのない音楽は無いことはないですが、やはりつまらないですね。そんなリズムを作る基本、休符を見ていきましょう。休符はなんだかいびつな見た目をしています。しかも面白いことに手書きをするときは下から上へと書きます。そんな休符を見かけたら、そこで吐ききった息を吸って次に備えましょう。
それでは、この休符を使った楽譜を読んでみましょう。全ての音符と休符が同じ長さで進んでいきますので、リズムが分からないという場合は、一定のテンポで、指で机を叩くなどして刻んでいきましょう。
これをカタカナで読むと次のようになります。
ドレミファソ休ソドソファミレド休ド
いかがでしょうか。そろそろカタカナより楽譜のほうが読みやすい!と思ってきたのではないでしょうか・・・?
拍子を考える
今まで紹介してきた音符と休符には名前が付いています。
四分音符(しぶおんぷ)と四分休符(しぶきゅうふ)です。この名前の由来はちょっと歴史的な事情があるのですが、細かいことは気にせず1/4という長さを表す音符や休符なんだ、と思っていただければOKです。
そして、この1/4の長さの音符(すなわち四分音符)を4回演奏したらひとまとまりになるようなリズムのことを4分の4拍子といいます。これはすなわち、¼ × 4 という意味で、4/4とト音記号の右側に書いて表します。ただし、分子と分母の間の線は、五線での真ん中の線で代用するため、あえて書きません。
4つの四分音符や四分休符が入ったグループを、縦線で区切って表します。この縦線のことを「小節線」といい、グループに分けられたそれぞれの部屋のことを「小節」と呼びます。
このように小節に区切られると、文章における句読点のようにリズムが分かりやすくなり、また今どこを読んでいるかを見失いにくくなるため便利です。
さて、上の楽譜を読んでみましょう。カタカナで書くと、次のようになります。
ドレミファ│ソ休ソ休│ソソド休││
ここまでくると、なかなか本格的な楽譜を読んでいる感じがしてきましたね。
ステップアップ方式で楽譜を読んでいこう
ここまで、「ドレミファソ」の読み方、休符の意味、拍子の意味を紹介してきました。
ここから先は次のような順序で練習していくことをおすすめします。
・ドレミファソラシドをひとつながりで読む
・二分音符と二分休符を読む
・全音符と全休符を読む
・八分音符と八分休符を読む
・隣の音を読む(例:ミを基準にすると、レ←ミ→ファ)
ぽんと五線紙の上に置かれた音をいきなり読むのは相当楽譜に慣れていないと不可能です。しかし、隣り合う音は比較的楽に読むことができます。
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