音符がだんだんと読めるようになってきて、いざ楽譜で演奏しよう!と思うと、リピート記号や、ダカーポ・コーダといった記号が出てきて、順番が分からず楽譜を読む気が失せてしまった・・・なんてことはありませんか?ここでは、普段使われる繰り返し記号を解説し、完全に明瞭に読むことができるようになることを目指します!
リピート記号
繰り返しで最もよく出てくるのはリピート記号です。まずはこれをしっかり抑えましょう。
基本のリピート記号
二重線に点がふたつ書かれていたら、それはリピート記号です。手書きの場合は線を太らせる必要はありません。
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リピートは英語の「Repeat」で「繰り返す」という意味です。特に指定が無ければ曲の始めから繰り返します。この場合は、
A B A B
と演奏することになります。
途中から繰り返したい場合は、二重線の右側に点をふたつ書いて、繰り返しの起点を指定できます。
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このように書くと、B Cの部分を繰り返すため、
A B C B C D
と演奏することになります。今回は説明のために小節数を短くしていますが、
A:イントロ
B:Aメロ
C:サビ
D:アウトロ
と思うと、2番まである曲という感じになります。よく出てきますので、しっかりおさえておきましょう。
カッコ付きリピート記号
3番まであるパターンや、間奏があるパターンではしばしばカッコ付きリピート記号が使われます。
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この場合は、
A B C D B C E F
と演奏します。Dが1番カッコに入っており、繰り返しのときはここを飛ばして2番カッコのEに行きます。
イメージは、
A:イントロ
B:Aメロ(1番・2番)
C:サビ(1番・2番)
D:間奏(1番と2番の間)
E:大サビ
F:アウトロ
といった感じです。
また、3番まであるような曲では、次のようなカッコが使われることもあります。
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この場合は、
A
B C D
B C D
B C E F
と演奏します。ここまで理解できれば、リピート記号は完璧です!
ダ・カーポとダル・セーニョ
なかなか異国感あふれる響きがするこのふたつの言葉ですが、それぞれイタリア語の「Da capo」と「Dal segno」です。「Da」と「Dal」は英語の「from」(~から)、「capo」は英語の「cap」と同語源で「頭」の意味、「segno」は英語の「sign」と同語源で「記号」の意味です。英語と同語源であることがわかると、少し親しみが持てるかもしれません。
ダ・カーポ
途中でいきなり楽譜が終わり、D.C.と書いてあれば、曲の始めにもどります。D.C.はDa Capoの略です。略さずDa Capoと書かれることもあります。戻った後は、Fine(フィーネ)で終わるか、コーダという記号(ヴィーデとも)でアウトロに飛ばされるかどちらかとなります。
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この場合は、
A B C A B
と演奏します。この順番はリピート記号では書くことができないですね。
そして、「コーダ」というOと+を足したような記号を使うと次のようになります。この記号は「ヴィーデ」ともいいます。コーダはイタリア語で「しっぽ」の意味で、音楽用語で「楽曲の最後の部分」となります。
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この場合は、
A B C
A B
D E
と演奏します。実はこれだと次のように書いたときと同じですね。
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では、どのように使い分けるのでしょうか?1番カッコの中身が長くなるような場合は、D. C.とコーダで書いた方がスッキリします。また、コーダは「曲の終結部分」という意味があるため、コーダ記号からはアウトロになる、という意味合いが出てきます。
また、D. C.とリピートを組み合わせることで、さらに複雑なリピートを表現できます。これは後述します。
ダル・セーニョ
ダ・カーポは始めに戻りましたが、途中に戻りたいこともあります。このようなときは、セーニョというSに点を加えたような記号を書くことで、そこに戻ることができます。あとはダ・カーポと同じようなルールになります。
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これは、
A B C
B D E
と演奏します。ここまでくると、少し複雑になってしまいましたね・・・。
ダ・カーポ、ダル・セーニョとリピート記号の組み合わせ
ダ・カーポとリピート記号を組み合わせることができますが、その場合慣習的なルールを知る必要があります。
ダ・カーポ、ダル・セーニョ時はリピート無効
誤解されやすいルールですが、ダ・カーポやダル・セーニョで繰り返されたとき、リピートは無効になります。例で確認しましょう。
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この場合は、
A A
B C
B C
A
B D E
と演奏します。Cからダ・カーポでAに戻ってきたとき、Aを繰り返さないことに注意してください。
Aは特徴的なイントロで、それを二回繰り返し
BはAメロ、Cはサビで1番と2番を演奏
間奏としてイントロのAを演奏
3番でBはAメロ、Dは大サビ、Eはサビ
のような楽曲構成のときに使われます。
ダ・カーポと3,4番カッコの組み合わせ
4番や5番まであるような長い曲では、ガンガン繰り返し記号を用いて省略することがあります。ある程度想像力を持って楽譜と向き合う必要があります。
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この場合はどのような順番で演奏すればよいでしょうか?少し考えてみましょう。
A
B C
B D E
B C
B D F G
と演奏します。次のように考えると、スッキリしますね。
イントロ:A
1番:B C
2番:B D
間奏:E
3番:B C
4番:B D
アウトロ:F G
一見すると複雑な順番になっていますが、1番と3番はCを演奏し、2番と4番はDを演奏する、と考えると、楽譜の見た目と一致しており、慣れてくると直感的な楽譜に見えてきます。
繰り返し記号を使うと、構造がわかりやすくなる
ここまで、リピート記号、ダ・カーポ、ダル・セーニョを見てきましたが、やはり最後の例なんかは複雑だから繰り返し記号を使わずに書いてほしい、という声も聞こえてきそうです。
また、繰り返すときにも少しフレーズに変化があったりするとそれをいちいち注記するのも面倒です。
それでも繰り返し記号を使うのは、省略ということ以外に、曲の構造が分かりやすくなる、という利点があります。
新しい曲を1回聞いただけで、何番まであって、何番と何番の間に間奏があって・・・、と把握するのはなかなか難しいものですが、繰り返し記号を使うとわかりやすくなります。練習するときも、出てきた音符を闇雲に演奏するのではなく、今どこを弾いているのかということが分かると、見通しがよくなりますね。
その他のリピート記号
その他のリピート記号を見ていきましょう。よく使われるものから、歴史の中に消えていったものまで様々です。
小節リピート記号
これは非常によく使われるリピート記号です。単純に前の小節を繰り返します。
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3,4小節目にある記号が小節リピート記号で、直前の小節を繰り返すため、
A B B B C
と演奏することになります。
また、2小節以上繰り返すこともできます。
![](https://assets-global.website-files.com/60ae32aa21d32d04ceaaa3dc/62da0aa001411e6ab77f5ba6_nviUJO63Wzz_cQpwPep1W6uHoA9CZ1Ms588N9YtKlCLYmLPR9N-mpIFdJKQhRHFFalVQN0mX2uZ7vANkW4oceLcFlnWAuB-AXsDmGB14-lYrxw-rfLMkOpan6geIL70wPoZ7ZQe8c0JgsBt0IgfDQ7w.png)
斜め線の数が、何小節繰り返すかを表すための記号です。この例では、
A B A B A B
と演奏します。小節リピート記号は繰り返しの多い曲では頻繁に登場します。これも楽譜がすっきりして、構造がわかりやすくなるため、積極的に使っていきましょう。
「bis」「ter」
これは滅多に見ることがありませんが、その小節を繰り返すときに、カッコでくくってbisと書くことがあります。bisと書かれれば2回繰り返し、terと書かれれば3回繰り返しです。これはラテン語の数字の読みが由来になっています。
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この場合は、
A B B C C C
と演奏します。古い楽譜にまれに登場しますので、もし出会うことがあったら「繰り返しだ!」と思い出してあげてください。
Many times
フェードアウトするような曲で何度も繰り返してほしいときや、同じ小節を何度も繰り返すような曲では次のような書き方をする場合があります。
![](https://assets-global.website-files.com/60ae32aa21d32d04ceaaa3dc/62da0aa0f29cf260a2491198_xBI33hQy3ARfaEtHf06U0pT3Uyi1UgTY6QDfCoGEpK_rLfZ0Kmuf4JLUOMs5kfTAq9zfskTTetYKrUPl62HgmStJkGlxMaoxfHy0So89RHcF6bwDWt0O57xrTo3FBuIXwuAHQEVZGmjHpjyF3iKdi7g.png)
これは見た目で意味は分かりやすいですが、演奏するときは数えなくてはいけないので、少し大変ですね。
A B B B B B B B B B B
という順番で演奏することになります。
![](https://assets-global.website-files.com/60ae32aa21d32d04ceaaa3dc/62da0aa006a4212a91ceeeb1_7GQsCeN5ORXoEC0WXTqvNua0f0_AciBpX4WetFKfKwdxcPQm_4tVsX8pa66350anjHnScFIsYkZV8KDcVYp_KHOgMjAC8odJjcjjp8IH15mVrs0Vf-V1YdZ_SNgbYYZF-7CtqKZDCmzC-P8ak_elqug.png)
このように書かれれば、フェードアウトするまで何度も繰り返します。ライブで演奏する場合はフェードアウトが難しいので前もって終わり方を決めておくのが普通です。
楽譜は伝わればOK!
他にもいろいろな書き方をする楽譜に出会ったり、これまでのルールではうまく表せないような複雑な繰り返しを書きたくなることがあるかもしれません。そんなときは想像力を持って楽譜を読んだり書いたりしていきましょう。楽譜の第一の目的は音楽を伝えることですから、ルールに縛られすぎずに自由に書いても良いものなのです。
ただし、誤解の余地は無いように、書くときは十分に気を付けましょう。
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