冬は、クリスマスやお正月といった華やかな季節である一方、暗くて寒い、孤独が身に染みる厳しい季節でもあります。今回はそんな切ない冬に聴きたくなるレミオロメンの不朽の名曲「粉雪」について見ていきましょう。

レミオロメンについて

ボーカル・ギター・作詞・作曲を担当する藤巻亮太、ベース・コーラスを担当する前田啓介、ドラム・コーラスを担当する神宮司治の3人から成るバンドで、2000年12月に結成し、2003年にメジャーデビューしました。2004年3月9日に「3月9日」を発売し、2005年には「南風」や「粉雪」など多くの曲を発売します。テレビドラマ「1リットルの涙」で「3月9日」と「粉雪」が挿入歌として使われると、爆発的な人気を博しました。その後は何度も全国ツアーを開催するなど国民的なバンドとなりますが、2012年2月1日に活動休止が発表されて以来、今日まで活動再開はしていません。

粉雪を聴いてみよう

構成

イントロ

1番

Aメロ「粉雪舞う季節は〜」

Aメロ「僕は君の全てなど〜」

Bメロ「些細な言い合いもなくて〜」

サビ「粉雪 ねえ 心まで白く〜」

2番

Aメロ「僕は君の心に〜」

Bメロ「わかり合いたいなんてもう〜」

サビ「粉雪 ねえ 永遠を前に」

間奏

サビ「粉雪 ねえ 時に頼りなく」

サビ「粉雪 ねえ 心まで白く」

アウトロ

穏やかで揺蕩うような1回目のAメロ

象徴的なタイトルにもなっている「粉雪」という言葉から1回目のAメロが始まります。前奏で4小節だけ顔を出したドラムが無くなっていることで、宙に浮いたような、あるいは揺蕩うような印象を受けます。「粉雪舞う季節」という言葉にピッタリですね。

コードは最後以外GとEmの交代となっています。長調と短調が混ざったような感じで、安定することがありません。旋律はほとんどがテンションノートと呼ばれる9th(ルートから長9度上の音。コードがGのときのAなど)になっているのも特徴的で、音楽のあらゆる要素が、不安定感や、宙に浮いている印象に効果的に働いています。

地に足の付いた2回目のAメロ

「僕は君の全てなど知ってはいないけど」と、2回目のAメロが始まります。1回目と同じ旋律ですが、ドラムが8ビートを叩くことで、地に足がついて歌うことができます。歌詞の内容も、抽象的だった1回目のAメロに比べてより具体的になります。たとえば、同じ旋律に登場する「人混み」と「1億人」といった歌詞の対比は素晴らしい効果を挙げています。

より踏み込んだBメロ

2回目のAメロは「君」に対する気持ちを語りましたが、ある意味で取り繕った内容でした。Bメロでは後悔、あるいは現状を変えたいという表現に変わり、Aメロよりもより踏み込んだ内容となっています。音域もAメロより広くなり、旋律のバリエーションも増え、コードも複雑になっていきます。「素直になれないなら」と歌うところはAメロと同じ旋律ですが、コードは全く違います。(これをリハーモナイズといいます)

抽象的だった表現からだんだんと「僕」の内部に踏み込んでいくに従って、曲の構成もそれに寄り添っていくという手法は見事ですね。

叫びに似たサビ

サビではいきなり「こなー-ゆきー-」と叫びにも似た旋律を歌います。おそらくこのフレーズは冬のJ-POPの中でも最も有名なのではないでしょうか?旋律としては1回目Aメロの「人混みに紛れても」の旋律の縮約のようになっています。それにしても、言葉のイントネーションに寄り添い、口を一番大きく開く「な」で最高音に達するというのは見事です。この高揚感は2回のAメロとBメロの綿密な構成の上に成り立っているものですが、それ以上に藤巻さんのインスピレーションの輝きと言えるでしょう。

なぜこんなにも「粉雪」は魅力的なのか

この曲の歌詞はかなり抽象的で、決してわかりやすいものではありません。またコード進行もいわゆる王道なものとは少し異なっています。それが「僕」の後悔だったり、揺れ動く気持ち、あるいは儚さのようなものを表しています。音楽には様々な要素がありますが、それらが意味を持って組み合わされていくと、その曲はとても魅力的に感じます。そのような緻密な構成の上に、理論だけでは作れない魂の叫びのようなサビが現れることで、より一層の深みを得て、不朽の名作たる魅力が輝いていくのではないかと思います。