音楽が心にひびく、新旧名作小説 ベスト5選

今回はコロナ禍でなかなか家から出られない、時間がどうしても余ってしまう、そんな時におすすめできる小説をいくつかピックアップしてみました。

読書してみたいけど何を読んだら……という方や、小説はちょっと堅苦しそうだな……と感じている方、ぜひ本を選ぶ際の参考にしてみてもらえたら嬉しいです。

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<この記事を書いたひと>

佐久間 恭子(さくま きょうこ)

昭和音楽大学大学院出身。専門はアートマネジメント。

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① 『羊と鋼の森』 (宮下奈都 作)

あらすじ

高校2年生の少年「外村」は、通っている高校で、体育館のピアノを調律する調律師「板鳥」と出会い、それをきっかけにピアノ調律師の道を歩み始めることに。楽器店に就職し、新米調律師として仕事に向き合う中で、そこで出会う人たちと交流を通じて成長していきます。

お気に入りのシーン

主人公の先輩の結婚披露宴でのシーンは筆者いちおしの感動シーンです。

主人公がこれまでの出会ってきた人たちとの交流を経て成長し、調律師として自分に何ができるかと、誠実な気持ちで演奏する人やピアノに向き合う姿が印象的です。

おすすめポイント

調律師となるきっかけとなった板鳥は、外村が調律師となってからも優しく導いていきます。彼の言葉は、仕事をする上で大切なことを伝えてくれ、読者にとっても励ましの言葉となります。言葉数は多くないけれどその一つ一つがとても深い。常に心の中にしまっておきたいです。


 

なかなかスポットの当たらない「調律」という仕事が作り出す、美しい世界が堪能できます。

 

② 『僕がヴァイオリンを弾く理由』 (西村すぐり 作)


あらすじ

小さい頃からヴァイオリニストを目指しコンクールに臨んだ小学6年生の少年「カイト」は自分の演奏が評価されないことに絶望し、ヴァイオリンをやめようと決意します。かつて住んでいた広島に戻って穏やかな時間を過ごしていくなか、1枚の楽譜と出会い、カイトの運命は大きく動き始めます。

お気に入りのシーン

楽器をやめて戻ってきた広島で、年相応に友達をつくり、おだやかな時間を過ごすようになります。少年の心の溝が埋まり、再びヴァイオリンに向き合う様子は応援せずにはいられません。 

おすすめポイント

タイトルにもある演奏する「理由」というのがこの作品のテーマです。演奏する、始める理由は人それぞれ。カイトがその理由について答えを出していく様子は、何かを頑張る全ての人に共感するポイントではないでしょうか。


失敗しても大丈夫。これまでの自分の頑張りがなくなるわけじゃない。児童文学として読みやすい表現で書かれているため、サクッと読めてかつ元気をもらえるはずです。子どもさんにもおすすめ。

 

③ 『楽隊のうさぎ』 (中沢けい 作)

あらすじ

引っ込み思案な性格の主人公「克久」は、学校にいる時間をできるだけ短くしたいと思っている中学一年生。ある日、不思議なうさぎに誘われ、学校で練習時間が一番長い吹奏楽部に入部することに。葛藤しながらも部内の個性的な仲間たちとともに全国大会「普門館」を目指します。

お気に入りのシーン

主人公「克久」が吹奏楽部顧問の先生に「ティンパニをやる」と宣言するシーンは筆者のおすすめシーンです。自分から「やります」と宣言する克久は物語当初の克久では考えられない強い決心が見え、成長を感じられるシーンです。


おすすめポイント

克久は、作品の中で親や同級生に「嫌ならやめてしまえばいい」「何で吹奏楽部にはいったの?」「吹奏楽なんて女がやるものだ」などいろいろと言われながらも吹奏楽部を続けていきます。克久自身は、「なんとなく」と言って、部活を続けていく理由をはっきり持っているわけではないけれど、自分で決めたことを夢中になって取り組み、少しずつ成長していきます。そしてそんな克久の姿を見て周囲の目も変わっていきます。


ステージに立てばみんな演奏者。克久のように自信を持って前を向いて演奏する姿に、自分自身も励まされる作品です!

④ 『くちびるに歌を』 (中田永一 作)

あらすじ

長崎県の五島列島にある小さな島の中学校に女性ピアニストが臨時教師としてやってきます。無愛想でわけあり臨時教師と合唱部員たちが、それぞれの葛藤を乗り越え成長していく姿が描かれます。

お気に入りのシーン

作品の中で登場する合唱部員たちによる15年後の自分に当てた手紙は、じっくりと目を通して欲しい部分です。

普段は表にはださない少年少女の心の葛藤が赤裸々に綴られています。さまざまな事情を抱えながら登場人物たちが合唱に取り組むことがこの作品の真髄です。


おすすめポイント

アンジェラ・アキの『手紙 ~拝啓 十五の君へ~』をモチーフにかかれた作品。作中では、コンクールの課題曲であるこの曲の理解を深めるために、部員たちが15年後の自分に手紙を書くことになります。曲を知らない人は歌詞の内容にも注目するとさらに作品を楽しむことができると思います。

一つの曲から一つの物語がうまれる、そんな背景を知っていると、歌から本へ、本から歌へ、と素敵なループが楽しめる一作です。

⑤ 『セロ弾きのゴーシュ』 (宮沢賢治 作)

あらすじ

楽団に所属するセロ(チェロ)弾きのゴーシュは、演奏が下手なために楽団の団長から叱られてしまいます。ゴーシュは、次の公演まで時間もない中「なんとかとかしなくては」とほとんどやけになりながら練習に励みます。そんな時「演奏を聴かせて欲しい」と毎晩動物が訪ねてくるようになります。

お気に入りのシーン


この作品の筆者おすすめシーンは、ゴーシュが猫に演奏を聴かせるシーンです。

セロ弾きのゴーシュが動物たちに演奏を聴かせる最初の場面。楽団の練習でうまくいかずにイライラする中で、八つ当たり気味に演奏を聴かせます。小説では音楽が聴こえませんが、猫の様子からどれだけゴーシュの演奏にやけな気持ちがこめられていたか、想像せずにはいられません(笑)


おすすめポイント

宮沢賢治の代表的な短編小説の一つ。ゴーシュと個性的な動物たちとの交流やセロの演奏シーンでは、その様子を想像しながら楽しむことができます。この作中の曲をイメージした演奏付きの朗読コンサートやCD、アニメーション映画もつくられており、原作と比較しても楽しめます。長年にわたって多くの人々に親しまれている音楽小説です。


空いた時間に読書でもしてみようかなと思っていただけたでしょうか……!


今回紹介した小説にでてくる登場人物たちは「楽器(音楽)」と向き合い、物語を動かしていきます。
人生をひとつの大きな物語をしたら、私たちはそのお話の主人公。時間は有限ですが、選んで使うことで自分自身にも納得して道を進むことができると思います。

読書で刺激を得たら、物語の登場人物たちと同じように、なにかにひたむきに取り組んで自分の物語を進めていくことができれば素敵ですね。


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