こんにちは、フォニムのエアロフォンコース講師の柳下柚子です。

今回は皆さんに ”独学で楽器を練習していく方法” についてお話したいと思います。

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執筆者紹介

東京藝術大学大学院博士課程に進学。フランスでサクソフォーンの初等教育を研究し、ビギナーの育成法や教材制作のマネージメントを行うほか、音楽大学生などのサクソフォーン指導者を対象とした教育法セミナーを主催。第1回K国際サクソフォンコンクール第3位。

柳下柚子の映像レッスンとオリジナル執筆教材は、フォニム エアロフォンカリキュラムの2ヶ月目から10ヶ月目で好評配信中。
また、エアロフォン講座で提出されたホームワーク演奏へのアドバイザーも務めています。
※アドバイスは複数人のチューター陣が担当しています。
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昨今急増したおうち時間を活用して趣味で楽器を始める人が多くなりました。

楽器の上達のために音楽教室に通われる方は多いですが、仕事や育児が忙しくて中々まとまった時間がとれないという方もたくさんいらっしゃると思います。またこのような状況下で外出を控えている方も多いのではないでしょうか。

「ちょっとした空き時間に少しずつ自分一人で練習して上達できたらな…」そんな相談を受けることがありますが、もしこれが実現したらとっても嬉しいですよね!

慣れない楽器の練習は、1から外国語を勉強するのに似ています。もちろん発音やフレージング、微妙なニュアンスなど、100%独学ではなかなか習得が難しい部分もあります。

しかし一方で、単語の意味や文法といった基礎知識は十分に一人で身に付けていくことが可能ですね。楽器の練習も同じで、自分一人で上達させていくことができる部分はたくさんあります。しかし、実際には非常に多くの人が「自分一人ではうまくいかない」「練習方法が分からない」といって独学での練習に挫折してしまいます。

それでは、一人でも楽器の練習を着実に進めていくには何が必要なのでしょうか?

「まずは楽譜が読めるようになること」

楽器の練習がうまくいかない原因は大きく分けて2つに分類されます。

① 楽譜がスムーズに読めていない
② 楽器がスムーズに演奏できていない

問題となるのは①の場合で、そもそも楽譜を読むこと自体がおぼつかないので、スムーズに演奏もできるはずがありません。残念ながらこの段階では、どれだけ楽器の練習をしてもやりたい曲がきちんと演奏できるようにはなりません。

しかし ”楽譜を読む” という能力自体は、音楽教室に通わなくても自分一人で身に付けていくことができます。早いと2~3か月で、シンプルな曲であればスムーズにドレミを読みながら演奏できるようになる人もいます。

特にエアロフォンの場合は、楽譜の読み方と運指を覚えれば簡単に楽曲が吹けるようになります。

そこで重要となるポイントは、効率の良い楽譜の読み方を身に付けることです!

STEP1  楽譜にドレミを振ってみる

これはフォニムのエアロフォンコースの私が出演している回で使用している楽譜(一部抜粋)です。

楽譜の下にドレミが振ってありますが、それって楽譜に書きこんでもいいの?と思われる方もいらっしゃると思います。私自身小さい頃にピアノの先生から「ドレミを書いちゃだめ!」と言われました。

しかしファーストステップとして、楽譜にドレミを振る作業は決して無駄ではありません。それに、せっかく楽器を買ったのに、ドレミが読めるようになるまでお預け...では悲しいですよね。まずはドレミを書き込む作業を楽器の練習と並行して行い、楽譜に慣れていくと良いと思います。

ドレミを読んでいくポイントは、前後の位置関係を意識することです。

五線の下から順番に数えていくのではなく、前の音に対して音がいくつ上がっているのか or 下がっているのかを数えるようにすると、楽譜を読むスピードが格段に上がります。

STEP2 拍子に合わせてリズムを計算する

ドレミを振ったら、次はリズムをおさえましょう。

楽譜の先頭についている分数で記された拍子記号を見れば、その楽譜の1小節に入る音符の数が分かります。例えば4分の3拍子の場合は、4分音符を1拍とカウントし、1小節は3拍分になります。

あとは音符や休符の長さを確認しながら、リズムがどのように組み合わされているのか計算していきましょう。

単純な作業に思えますが、意外にも      ”なんとなく” で楽譜を読んでしまい、間違ったリズムで演奏している人がとってもとっても多いです!小節ごとに過不足なくリズムが割り振れているかをきちんと確認するのが、楽譜を正確に読むポイントです。

STEP3 手拍子をしながら楽譜を読んでみる

STEP1、2ができたら楽器で演奏する前に、手拍子でテンポを取りながら楽譜を読んでみましょう。

早く楽器が吹きたい!…と感じるかもしれませんが、このステップを踏むだけでかなりスムーズに演奏ができるようになるはずです。というのは、読めないものは吹けないからです。

もし何か既に演奏できる楽曲があれば、その曲を手拍子しながら読んでみると分かります。吹ける楽曲は当然、読めますよね。

このようにきちんとプロセスを踏めば、既に①楽譜が読めていない状態をクリアしています。

すなわち、あとは楽器を演奏することのみに集中できるということです!

多くの方が日々の生活の中で、楽器を手に取って音出しができる時間が限られていると思います。移動中の電車や待ち時間などのちょっとした隙間にこれらのステップを進めておけば、実際に楽器を練習する時間の効率が格段に上がります。

限られた時間の中でつまずくことなくスムーズに練習を進めていくためにも、これらのステップをあらかじめ済ませておくことをおすすめします!

独学で楽器を練習していくための最初の3ステップ、いかがでしたか?

もちろん楽器がうまくなるには独学だけではなく、専門家のアドバイスを受けることが欠かせません。しかし自分でできる範囲のことは、クリアしておきたいですよね。

フォニムのレッスンでは、学習者さんが自立して一人で練習ができるようになることを目指してカリキュラムを組んでいます。ぜひ今回のポイントを日々の練習の参考にしていただけたら幸いです!