こんにちは、サクソフォーン奏者の柳下柚子です。

今回はいつでもどこでも簡単にできる、ヤマハデジタルサックス™・エアロフォンなどの管楽器のための運指トレーニングをご紹介します。


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この記事を書いたひと

 

東京藝術大学大学院博士課程に進学。フランスでサクソフォーンの初等教育を研究し、ビギナーの育成法や教材制作のマネージメントを行うほか、音楽大学生などのサクソフォーン指導者を対象とした教育法セミナーを主催。第1回K国際サクソフォンコンクール第3位。

柳下柚子の映像レッスンとオリジナル執筆教材は、フォニム エアロフォンカリキュラムの2ヶ月目から10ヶ月目で好評配信中。

また、エアロフォン講座で提出されたホームワーク演奏へのアドバイザーも務めています。

※アドバイスは複数人のチューター陣が担当しています。

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細かい音がたくさん並んでいる曲、速い指の動きがたくさん出てくる曲に挑戦したことはありますか?管楽器奏者は、素早く指が動かせることを “指が回る” とよく言います。しかし大切なことは、ただ速く指が動かせば良いのではなく、正確に、細部まで明瞭に演奏することです。


速い動きに出くわして困ってしまった方には、「速いところはテンポを落として、ゆっくりから少しずつ練習しましょう」と指導しています。指定のテンポからぐっと下げて確実にできる速さから、メトロノームを1目盛りずつ上げていくのが、最も確実な練習方法です。

フォニムのレッスンでも、速い動きが出てくる部分は、まずゆっくりなテンポでの模範演奏が収録されています。焦って速いテンポで演奏して何度もミスを重ねてしまうと、ただ間違った習慣を身に付けてしまうだけの練習になってしまいます。それでは意味がないどころか、むしろ逆効果ですね。このような地道な練習は一見遠回りに思えるかもしれませんが、正確にきちんと練習を重ねていけば自然と指が回るようになっていくのを感じられると思います。


しかし、メトロノームと一緒に地道にコツコツ練習…というのは、中々骨の折れる作業だと思います。多くの方が毎回の練習時間や体力に限りがあると思いますし、仕事や育児、勉強が忙しくて、そんな細かい練習をする時間がとれない…!というようなお悩みもよく伺います。


そこで、皆さんにご紹介したいのがこちらのトレーニングです!

楽器が手元になくてもできる指上げエクササイズ

椅子に座って、机の上(または膝の上)に利き手をのせます。

キーボードをタイプする時のように、少し手を中央に丸めてください。

この時、手首は上がらないように注意しましょう。

肩から下はリラックスして、これで準備OKです。


それでは、次に指定された指を上げてみましょう。


【Level 1】中指

                指をぱっと素早く上げましょう。他の指は動かないように!


【Level 2】人差し指 + 中指

               2本を同時に上げます。ばらばらと上げるのはNG。


【Level 3】人差し指 + 薬指

               薬指は5本の指の中で一番力が入りにくく、動かしにくい指です。


【Level 4】人差し指 + 薬指 + 小指

               3本を同時に!ここからぐんと難しくなります。


【Level 5】親指 + 中指 + 小指 

               ポイント:上げない指を意識するとやりやすいです。頑張りましょう!


いかがでしたか?

【Level 3】や【Level 4】あたりから、「あれ?指が言うことをきかない…」と感じる方もいらっしゃると思います。指が思うように上がらないのは、指の筋肉はもちろん、脳からの指令がスムーズに指に伝わっていないからです。これは楽器を演奏する時も同じですね。このようなトレーニングや楽器の練習で脳からの情報伝達の回路を開発することで、徐々に速い指使いにも瞬時に対応していけるようになります。


この脳の回路ですが、何歳からでもトレーニングすることで鍛えていけるそうです。利き手がスムーズにできた方は、ぜひ反対の手でも挑戦してみましょう。利き手より難しく感じるのではないでしょうか。


簡単そうに見えて、意外と難しい!指上げエクササイズですが、音大受験の前にピアノの先生とこのトレーニングをいつも行って、眉間にしわを寄せながら何とかクリアしていました。


こういったトレーニングなら場所や時間を選ばず、ちょっとした空き時間に気軽にチャレンジできますね。最初は思い通りに動かない人でも、少しずつ続けていくことで徐々に指が動くようになっていきます。運指の覚え方で悩まれている方もたくさんいらっしゃると思いますが、まずはこの簡単な指上げエクササイズから、ぜひ気楽に始めてみてください。


【番外編・両手のエクササイズ】

左手:親指 + 人差し指 + 薬指 

右手:中指 + 薬指


先ほどのエクササイズが簡単ですぐに出来てしまったという方のために、番外編・両手同時の上級エクササイズです。ここまでできたらもうプロ級!ぜひ挑戦してみてください